不義理、不行跡を繰り返してきた過去を振り返るのは、わがことといえどもたいへんにこころ苦しくしのびない。とはいえ誰かと話している最中に、ふとした流れでむかし話に踏み込むこともある。それが剣呑だ。その前に過去のことをいちいち思い出すのも面倒くさい。
＊
そんな、あまりにも無責任で自分勝手、かつ懶惰な性格の私なのである。だんだんと“いま”しかない昆虫に近づいているような気もする。それはそれでまたよいのではないかと思ったりもする。始末に負えない。
＊
しかし反省はしてみるものの、やはり過去を振り返るのははなはだ億劫&やるせない。たぶんきっと気持が沈みかけているのだろう、失敗や間違い、恥をかいたこと、人を傷つけてしまったことなどばかりが脳裏に浮かんでくる。
＊
そこでどうしたかというと、なんと私は「むかしのことにはあまり記憶がない」ということにしてしまったのだ。他人に対してばかりでなく、自分自身に対しても。われながらほんとうにどこまで身勝手なヤツだろう。呆れ果てる。しかし考えてみればほんとうに私の過去を知りたいと思う人間などいるわけもないし、実際のところ部分的にかなり記憶が薄れかけていたことも確かだ。
＊
というわけで何度か「むかしのことにはあまり記憶がない」とクチにしていると、ほんとうにますます過去の記憶が怪しくなってきた。思い出せない、忘れたというだけではなくて、あれはほんとうの出来事だったのだろうか? 小説や映画や、その他なにかの創作の影響か妄想ではないか? と疑わしい記憶が出てくるのだ。記憶喪失ではなくて記憶創出。
＊
ここ２日ほどはいつかどこかの駅頭で白昼、女に思い切りビンタを喰らわせられた記憶が浮かんだのだけれども、それが実際にあったことなのかどうかわからない。いつ? どこの駅で? 誰に? どんな理由で? まったくわからないのだ。だけれども、駅頭で女にビンタされた、そしてそれは少しうれしいという感覚はあるのだ。
＊
これまで私は女にビンタをされるようなトラブルになったことはないし、単なるいきがかりにしても叩かれなければならないようなことをしでかした記憶もない。もっともこれを疑って泥沼にはまっていくいく道もないとはいえないけれど。
＊
で、またここからが私のヤらしいところなのだ。人々が行き交う白昼の駅頭で女に頬を張られるというのはそれほど厭ではない、むしろなかなかいい感じ、と考えてしまう。ドラマチックではないか。そうすると、頬というより右の耳の下からアゴにかけて叩かれた感覚が蘇ってくるような気がする。若干、脳が揺れたりして。おお、つまりそうすると女は左利きだったのだな、とさらに記憶にディテールが生まれてくる。
＊
叩かれること自体はそれほどカッコ悪いとも思わないけれども、その拍子にメガネが飛ぶのはカッコ悪いなあ、と考えたりもする。するとメガネ派手に飛んでいったっけなあ、回転しながら床の上をスルスルと滑っていったっけなあ、とまた新しい光景が起ち上がってくる。
＊
それから、これはなんなのだろう? 人の顔というのは平手打ちをすると意外に大きいものだ、という驚きの実感が私の右手に残っているのは。いつのまにか叩かれた方から叩いた方に入れ替わっている。困ったものだ。
＊
そんなときに（↓）この記事を読んで冷や汗が出た。まさか私のことではないだろうな?
＊
＊
＊
◆『西日本新聞』2019年7月26日配信
【女子高生に「ほっぺたをたたいてください」 佐賀県みやき町で不審な男が声掛け】
《 佐賀県警鳥栖署は26日、同県みやき町東尾の通瀬橋交差点付近で25日の午後、女子高校生が不審な男から「こんにちは」「今日も暑いですね」「ほっぺたをたたいてください」と声をかけられたとして、メールで注意を呼び掛けた。署によると、男の特徴は年齢30歳くらいで身長は約170センチ。体格は中肉でボーダー柄の半袖シャツを着て髪型は黒髪の丸刈りだった。》
＊
＊
＊
年齢こそもう少し上だけれども、中肉で丸刈りだしボーダー柄の半袖シャツももっているし、もしかしたら……。日本全国に私によく似た男がワラワラと出没していたら怖いなあ。
＊
まったく、人生は苦しみばかりだど〜ん。楽しかった思い出などひとつもないっ。暑いし。（了）
† 吉本興業といい日大といい、アメフト関係者はなぜ記者会見がグダグダになるのか?
†† 個人事務所の出番がない明石家さんま（64）、加藤浩次（50）に擦り寄る
††† 「地獄過ぎて笑うことも泣くこともでけへん」と給料の安さをSNSで告白したなだぎ武（48）に大量のバナナが届く
†††† エンペラー松本人志（55）がカタチだけの吉本興業退社を画策中
††††† カラテカ入江慎也（42）はシークレットシューズ愛用
楽天カードでポイントゲット
申込はこちらへ
【通販限定】ヤクルトの基礎化粧品・イキテルの化粧水が半額！
ノッツェ 無料パートナー紹介
0 件のコメント:
コメントを投稿