テレビがおもしろくないなどとは、いまどきあたりまえすぎて口に出すことすら憚られる。ああ、恥ずかしい。しかしこれはあまりに酷い、酷すぎる。↓
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◆『ナリナリドットコム』2019年5月9日配信
【「美人は得をする」検証にさまざまな声】
《 5月8日に放送されたバラエティ番組「それって!?実際どうなの課」(日本テレビ系)で、「美人は得をする」との噂を検証する企画が放送された。
番組はまず、東京・上野のアメ横商店街を舞台に、「美人はどこまで値切ることができるのか」を検証。ある店で、番組ADの男性が9,800円と言われたタラバ蟹を、音大出身・清楚系美人の女性が買いに行くと、値切ることなくいきなり「8,000円」と言われ、さらに「もうちょっと安くならないですか?」と交渉を始めると、「7,500円」まで値切ることに成功した。
なぜ番組ADよりも美人女性のほうに安い値段を提示したのか、この件について店主にたずねると「そりゃしょうがないよ、男だからね。キレイどころにはまけないと。内緒でやっとかないと」との回答。「美人は得をする」の噂通りの結果となった。
また、別の店で8,000円の値札が付いた天然マグロ大トロでも検証。番組ADが半額の4,000円まで値切ることに成功したが、美人女性は交渉の結果、「お姉さん、美人だから内緒で2,000円」と激安価格まで下げることに成功した。
なぜ値札の4分の1まで安くなったのか店主にたずねると、こちらも「普段半額まではまけてるんだけど、きょうちょっと美人が来たんで、おまけしちゃって」と回答、「やはり男は美人に甘かった」とのテロップも添えられた。
続けて、美人のほうが出会いが多い可能性を確かめるべく、「美人が夜の繁華街を歩いたら何人にナンパされるか」を検証。仕事終わりのOL風美人が東京・銀座のコリドー通り(450メートル)を歩く間に何人から声を掛けられるかを調べた。
検証が始まるとすぐに声を掛けられ、通りの半分あたりですでに12人。最終的には19人に声を掛けられるという、驚きの結果となった。
こうした番組内容に、Twitterなどネットでは「美人が得する世の中だよなぁ」「美人に生まれたかった」「容姿がすべてとは言わないけどさぁ」「ブスつらい」「得したい人生だった」「美人は生涯で3000万円得するらしい、と番組でやってたけど、もっとしてそうじゃない?」「なんだか見ていて悲しくなる番組だった」など、さまざまな声が上がっている。》
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いまさらなにをやっているのか? 「美人は得をするのか?」なんてテレビでも雑誌でも過去にうんざりするほど取り上げられたテーマではあーりませんか。まさに手垢のついた、というヤツ。まずはこの企画がよく通ったものだと感心する。
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テーマとして目新しいものがないのなら斬新な切り口で、というのかといえばそれもない。というかそれ以前に間違いだらけである。まず美人と対比されているのが「番組ADの男性」ってなにそれ? 美人と対比されるべきはブスではないか。そうしてはじめて「美人は得をする」かどうかがわかる。男と比較してどうするのだ。
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そして「得をするのか?」からーの「値切れるのか?」展開。天晴なほど単純である。しかも対象は上野アメ横のタラバ蟹とか天然マグロ大トロとくる。意図不明である。どうして高級ブランドのディスカウント店とかリサイクル店とかにいかない? 値切れたらさも女が喜びそうなものにしない?
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まさかマジで「得をするのか?」→「値切れるのか?」→「上野アメ横の生鮮!!」とアタマのなかのボンヤリ年の瀬つながりのまま動いたのならほんとうのバカだぞ。
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「美人が夜の繁華街を歩いたら何人にナンパされるか」も比較対象がないのではっきりしない。そんなことに時間をかけるのなら、「目的別スカウトされがちタイプ」を調べたほうが「美人」がほんとうに得なのかがわかるというものだ。
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「美人」と「好みのタイプ」はたぶん別だから、集団のなかから自分が「美人だと思う女」と「付き合いたい女」を各1名づつ選んでもらうのもおもしろいかもしれない。圧倒的に「美人」イコール「付き合いたい女」「好みのタイプ」であれば「美人」は得をするといい切れるけれども、きっとそんなふうにはならないだろうなあ。そして「付き合いたい女」「好みのタイプ」のほうが「美人」よりも肉付きがいいだろうなあ。うむ。
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しかしそれにしても「美人」が得をするというのはとりあえずは共通認識なので、番組ではそれをひっくり返すか、あるいはもっと明確に数値化、見える化することにポイントを置くべきだろう。
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たとえば林真理子(65)の顔を北川景子(32)の顔に成型おっと間違いた(by荒木経惟)整形するのにいったいいくらかかるのか、高須のかっちゃん(74)に聞いてくるとか。そんなのもう絶対ムリ!! といわれればこの場合、美人の価値は無限ということになる。
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林真理子にいくら金をもたせれば無一文の北川景子を蹴って結婚するか、という設問もいいなあ。
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あとコンビニの男の店員に両替を頼んで、美人なら続けて何人まで引き受けてもらえるか、ブスなら何人までかを検証するのもいいなあ。
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「美人」というのは世間の諒解で成立するもので、ブスは世間の排斥から成り立っている。しかし世間から排斥されても誰か独り真剣に愛してくれる男がいればしあわせではないか。たまにそういうカップルを、とんでもないブスを愛しくてたまらないというふうに撫で回したりしている光景を見かけるけれども、あれはあれでいいのである。結婚は1人としかできないのだ。万人に愛されてもたいした意味はない。そう考えよう。
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対して「美人」は世間の諒解で成立するものだけにパチンコ業者の見栄対策に利用されたり、また引く手あまたを享受しているあいだにうっかり女としての価値をすり減らしてしまっていたりで、得をしたのかどうかよく分からない事態を招くことも多い。現実ってそんなもん。
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さらにいえば「美人」は冷たい、利己的、テングになっている、男に媚びる、努力をしない、などなど、内面のありように疑問を抱かれがちである。しかも同性にはうとまれる。最近ではヘンな粘着にも狙われやすい。そこらをかいくぐって生きていくのはたいへんなことだろうと私は思う。ブスはへらへら笑っていればそれで許されるが。
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おおっと、もとい。で、いたいことは、「『美人は得をする』との噂を検証する」前に、少しくらいは「美人とはなにか」を考えてみてもらいたいものだ、ということである。
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いくら深夜帯とはいえ「ナカイの窓」の後番組として放送されている「それって!?実際どうなの課」である。なのに、こっちがそう聞きたいくらいのシロモノなのさ。(了)
† 泉ピン子(71)は鼻の穴に雨がたまって小学校を休んだことがある
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