最近のCMはシドイです。まったく笑えないギャグ仕立て、十年一日のアホ踊り、これも十年一日の手順の実証スタイル。それだけならまだしも、つくりや演出がたいへん雑です。最後までていねいにカットをつなげているだけでも、もはや少数派です。ラストの、ポカーンと口を開けて止まったモデルの揺れる立ちポーズを何秒も見せられても困ります。
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とはいえ、そういうことならまだディレクターのスキル不足、経験不足、センス不足みたいなことで、ある程度、諒解できなくもありません。ところがまったく理解できないCMも少なからず存在しています。大きな声ではいえませんけれど。
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大きな声ではいえませんけれども、たとえばAmazonプライム会員のCMです。えっと若夫婦のあかちゃんがライオンの縫いぐるみを喜び、しかし飼っている犬(ゴールデンレトリバー)には怖がって泣いてしまうというアレです。で、ゴールデンレトリバーは哀しげな目をして親子団らんの場から退散、遠くからショボーンと三人のようすを見ている、というしょーもないアレ。
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でもって、ガッテンわかった任せとけ!! と若旦那は電話でなにごとかを注文。さっそく届いたのはゴールデンレトリバー色をした、フリンジ付き便座カバーみたいなシロモノ。さっそくこれをゴールデンレトリバーの顔まわりに装着!! ゴールデンレトリバーが、なんと立派なたてがみのライオンに変身したではありませんか!! あかちゃん笑う、夫婦も笑う、犬も笑う、私は開いた口が塞がらないという、感動作のつもりらしいアレ。
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もう、このCMがYouTubeでは今年3月から流されていて、いまやテレビでもヘビーローテーションだということ自体が、私には信じられませんね。こういうことは理屈ではなくて感覚の問題なので、このCMに違和感を感じないとおっしゃるのであれば、いいです。別に。
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もう、「櫻井翔は第2のキムタク」とかワケのわからないことを書いてきたので書き直すようにいうと「ワタシはこう感じましたから」とかいい張るヤツ。こういうヤツにはいくら親切ていねいに説明してやってもわかってもらえないのです。放っておくしかないのです。で、私はそういうときだけは差別主義者になります。あ? 私が嫌われているだけという指摘もただいまいただきました。シドイ。
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ともかく、世の中の親御さまには、ぜひぬいぐるみはぬいぐるみ、犬は犬、フェイクたてがみはフェイクたてがみ、ライオンはライオン、という教育をしていただきたいものだと思います。
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数を頼みにするわけではありませんけれども、少なくとも私のまわりの方々、とくに愛犬家ではなくとも、このCMにはみなさん失笑、苦笑です。バカバカしくて怒る気にもなれない、と。
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このCMがバカバカしいを通り越してさらに不気味なのは、ここに描かれているのがファンタジーなのかリアルなドラマなのか、製作者がはっきり把握できていないと思われるところです。
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現実には犬があそこまで人並みな行動をすることはあり得ませんし、あかちゃんもあかちゃんで、自分が生まれたときから同居している犬がただ近づいてきただけで怖がって泣くというのも考えずらいです。しかし全体としては感動のスライスオブライフ(日常の一断面)というつくりになっています。夢と現実がごちゃまぜになった世界。怖いです。
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これ、たぶん、Amazonプライム会員になれば注文した品が早く届くという告知なのでしょう。その日の夜にはライオンのフェイクたてがみがお手元に!! あ、そう? アレはペット用ウイッグといって実際に売られてるものらしい、と通りがかりの知り合いが叫んでおります。ふうん。人間さまのひとりよがりにも困ったものです。ま、人それぞれですけど。
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もとい、で、どうしてこんなことになったのだろう、こういうつまらなさはどこからくるのだろう、と考えたところ、それはほんとうにつまらないフジテレビを見ればよくわかる、と思ったわけです。フジテレビは世のなかの“つまらない”の集積場みたいなものです。シドイ。
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フジテレビについては昨年10月5日にも取り上げています。そのときはフジテレビがなぜ低迷しているかについて、なんとシドイことに「嫌われているから」だとし、嫌われている理由を[1]上から目線である [2]人の話を聞かない [3]なにをしたいのかわからない の3点にまとめて整理しました。詳しくはそちら、10月5日の記事をご覧いただければと思います。
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でもって、あれからもフジテレビは着々とダメになり続けてきました。福山雅治(47)主演の月9が全話平均&1話平均の両方で歴代最低の視聴率を記録して惨敗、果ては局単体の当期純利益でテレビ東京の下をゆくという“事件”まで起こしています(2016年3月期決算)。
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そんなこんなの6月28日、フジ・メディア・ホールディングスの第75回株主総会が開かれました。この総会で、フジテレビの亀山千広社長(60)は、現状脱却のための方針を「まずはドラマで話題を呼び、バラエティで視聴習慣を根付かせ、最後は報道番組で信頼を得る」と、語ったそうです。
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これですよ、これ。フジテレビがぐんぐん凋落していくのも、CMが腰が抜けるほどつまらなくなっているのも、その根は、この亀山千広に代表される、なんというか頑迷、愚鈍です。それしかいいようがありません。シドイ。
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頑迷、愚鈍で新しいことを考えるチカラがないものですから、また過去の焼き直し、二番煎じ三番煎じです。後ろ向きに全力疾走しているようなものです。これはシドイ。
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ドラマで話題を呼び、って、現状ではドラマ自体、地上波ではもうはっきり限界が見えているわけです。そこにジャニーズだの若手イケメンだののキャスティングでお茶を濁しているのが現状です。そんなことをまだ続けようと?
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うむ。続けるらしいです。今度の7~9月期ドラマは、桐谷美玲主演の月9『好きな人がいること』に、山崎賢人、三浦翔平、野村周平を投入。日曜夜9時枠は、Hey!Say!JUMP・中島裕翔主演の『HOPE~期待ゼロの新入社員~』だそうです。しかしどうして“期待ゼロ”なんてタイトルに入れるのでしょう。自虐にしか見えませんけど。
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そして次は「バラエティで視聴習慣を根付かせ」です。『めちゃ×2イケてるッ!』を放送している局のトップがよくこれをいえたものだ、という気さえします。あれ? どうしたわけか今日はいつもより言葉がキツいようです。いつもと違う今日のワタシ。
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たとえば『めちゃ×2イケてるッ!』6月25日放送分では、ついに視聴者だけでなく出演者にも呆れられてしまいました。そのへんのところ、『ビジネスジャーナル』(2016年7月1日配信)の記事からの抜粋でご紹介します。
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《この日の『めちゃイケ』は、「オ・サール高校創立6ヵ月記念 初めての修学旅行」という企画を放送。ナインティナイン・岡村隆史を筆頭に、Kis-My-Ft2・千賀健永など“サル顔の芸能人”が集められていたが、その一員として呼ばれた元プロボクサー・ガッツ石松がロケ途中で帰ってしまうトラブルが発生したのだ。
「ガッツはニセの企画で呼び出されていて、困惑しつつも最初の企画には参加。しかし、次のロケ場所に移動する段階で、ナインティナイン・矢部浩之が『ガッツさん、帰った』と明かしました。岡村は『カメラ止まってる時に、(ガッツが)電話でトラブル処理をしていた』と暴露し、どうやら企画内容を聞かされていなかったガッツがマネージャーと揉め、帰ったものと見られています」(週刊誌記者)
同番組は以前にも俳優・哀川翔にドッキリを仕掛けて激怒させていた。
「フジには学習能力がないのか。温厚なガッツが仕事の途中で帰るなんてよほどのことだし、そもそもガッツも哀川も芸人ではないのだから、失礼過ぎるでしょう。呆れ声が広まっていますよ」(同)
また、サル顔タレントたちが手づかみでビュッフェを食べるなど、“食べ物で遊ぶ”企画も行われ、インターネット上では「こんなの誰が喜ぶの?」「見なければ良かった。汚いし不快でしかない」など、批判が殺到した》
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要するに、もう、冗談でも例えでもなく、ギャグと悪ふざけの区別さえつかなくなっているということです。ファンタジーと現実の区別がつかなくなっているAmazonプライムのCMと同じ。広告、メディアの世界のこのていたらくは、結局、クリエイティブ志向の優秀な人材がIT関連やゲーム、アニメに流れた結果、という元も子もない結論に落ち着くのかもしれません。
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もうこうなってしまったら、いまどき1980年代フジの「楽しくなければテレビじゃない」「軽チャー路線」を夢見ているような人々を、そのままテレビに出すしかないのではないでしょうか。そうしていただければおおいに笑えると思います。芸人にギャラを払わなくても。シドイ。(了)
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マジで売れていません!! 右のカラム分もよろしく!! お腹すいたー
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