テレビと私とは実に長い、しかも昵懇の間柄なので、これまで黙ってスイッチを切る、あるいはチャンネルを替えるなどという失礼なことは、ほとんどしませんでした。たいてい、少なくとも「バカ」とか「うるせー」くらいの声はかけていたのです。機嫌のいいときは「おやすみ」なんていったこともありました。
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ところが最近、何回か無言でチャンネルを替えました。あきれ果てて。営業店としてはクレームをいってくれるお客さまはありがたい、なにもいわずに去って2度と来店しないお客さまがいちばんコワい、ってヤツですね。無言ですけれども、お前なんか相手にしてられねー!! と腹の中は煮えくり返っているわけです。
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相手にしてられねー!! まずは選挙報道です。選挙活動のレポート。街頭で児童施設で講演会場で、愛想を振りまく各候補の姿が映し出されます。しかしこれ、撮るほうも撮らせるほうもフォーマットが古すぎやしませんか?
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たとえば待機児童対策に取り組むことをアピールするために、保育所で子どもたちとの笑顔のショット、みたいなものが何度も出てくるわけです。都知事選の主要3候補といわれる方々、みなさんおやりになっていました。
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けれども実際的には、保育所を回って視察するなどということは都知事の仕事ではないわけです。やってもPRがらみ。つまり子どもたちとの笑顔のショットは、いってみればイメージショットなわけです。清涼飲料水を飲めば髪が爽やかな風になびく、みたいな。おお!! ヤラセともいえる、といま通りすがりの知り合いが。その通りでございます。
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こうした、はるかむかしにマスコミ向けに考え出された画ヅラがいまだに健在とは、企画不足も甚だしいといわざるをえません。そしてまことに残念ながら、こんなシラジラしい芝居を満面に笑みを湛えてよくやるなー、という候補者への嫌悪感以外は、なにも伝えるものがありません。
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で、各候補の選挙対策本部からお知らせがきて、イソイソとこんな撮影に出かけていくマスコミにも呆れます。選挙活動のレポート、報道といっても、これでは各候補のいいなり、それもまったく陳腐な企画に乗っかっているだけではありませんか。手間がかからないという点ではナイスでしょうけれど。
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やるほう、やらせるほう、それを伝えるほう、みーんなナメているわけですよ。有権者なんてこんなものを見せておけばいいだろう、と。ですからわたしなんかは、保育所での対応がいちばんぎこちなかった候補に投票するタイプですね。こんなことでは、少なくとも私の票は絶対にとれません。
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次、私としてはたいへんめずらしいことにバラエティ番組の途中でチャンネルを替えてしまったのは、7月23〜24日放送の『FNS27時間テレビ フェスティバル!』(フジ)内の『さんまのお笑い向上委員会』でした。
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とにかく太田光(51)がイタいのです。この点については24日放送のラジオ番組『土田晃之 日曜のへそ』(ニッポン放送)でホストの上田晃之(43)が語っています。そこのところ『トピックニュース』(2016年7月25日配信)からご紹介しましょう。
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《土田は「すごく楽しかった!」と満足気に振り返る。そして、出演者たちが「中堅」どころで、「みんなテレビで活躍している人たち」だったために「はしゃいでふざけているけど、出どころは人にちゃんと譲る」人たちだったことを称賛していた。
ところがそこで「爆笑問題の太田(光)さん以外は」と付け加える。太田以外の出演者は「この人が今フィーチャーされるな」といった場面や、MCの明石家さんまが「今この人のところに行こうとしているな」というときは、トークを譲り、時間も守っていたのだそうだ。太田だけは、その暗黙の了解を守らないのだという。そして太田が話に割り込んでいくと、「チッ!また出て行った」と不満をもらす芸人もいたと明かしたのだ》
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この、場の空気の読めなさ、おもしろくなさ、つまりひとりよがり加減というものは、まあ、あれです、ちょっと乱暴な中学校だったら率先して殴られているタイプですね。鉄拳制裁。
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ワーワーギャーギャーと番組進行を無視して暴れる園児・光はもちろんいただけませんけれども、もっと深刻にイタかったのは、太田光はどれだけ暴れてもその後の仕事を心配しなくてもいい立場、非難されることない立場、つまり安全地帯の上で暴れていたということです。しつこいですねー。ともあれ、永野(一樹、41)とは懸かっているものがまったく違います。
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その立場のひとつには、もちろんテレビのバラエティ番組ですから、スタジオ内での反応にも抑制があるということ、なにをやらかしても徹底的に非難されることもなければ、殴られるなどはもってのほかということです。とはいえ私、園児のごとくギャーギャー喚き立てる太田光を眺めて、やっぱり子どもには体罰も必要なのかなー、と真剣に考えましたけれども。
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ふたつめは、自分のお笑い界でのポジションに守られているということ、多くの出演者にとって先輩であり、いちおう売れていて名前もある、若手とは格が違う、文句はいいずらいだろう、というわけです。
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そしてみっつめは、なにをやろうと、どんなヘマをしようと、とりあえずは明石家さんま以下のお笑い芸人たちがよってたかって着地させてくれる安心感です。これは大きいでしょうね。しかしお笑い芸人としてはまるでおんぶに抱っこです。
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テレビのバラエティ番組という枠、お笑い界での格、しっかり受けて着地させてくれる安心感、この3つに守られて太田光ははっちゃけていました。しかし、です。これら3つの安全装置は、すべて人さまのもの、あるいはおかげです。お笑い界でのいまのポジションでさえ、妻の光代(52)につくってもらったようなものです。
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番組企画含め、妻・光代のプロデュースがあってこその太田光。太田光にとって妻・光代は絶対の存在です。たとえば、せっかくの白塗りを収録中に指示を受けてすっかり落したこともありました。この番組のなかでも、太田光は妻・光代の話題を出すととたんにおとなしくなる、と誰かに指摘されています。結局、太田光は人さまの庇護の元でしかはっちゃけられないわけです。そんなヤツです。
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で、太田光の場合、どうしてはっちゃけているのか、そのそもそもの理由も痛々しいくらいに画面上に露呈していました。それは、いつ殴られるかもしれないと教室の隅でオドオドしていた、たぶん中学生くらいの自分です。そのコンプレックスの反動です。
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どうして誰もこっちを向いてくれないんだよー!! でも怖いんだよー!! おもしろいこともできないしー!! という中学生・光の心の叫びそのままです。そんなわけで、『FNS27時間テレビ フェスティバル!』での太田光はそうとうグロテスクな見世物でした。
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ちなみに、いま太田光のファンというのはどのくらいいるのでしょう? 視聴率的にどのくらいの数字をもっているのでしょうか? 『サンデージャポン』(TBS)などでのコメントはとうのむかしからおめでたいボケでしかないし、いったい誰が支持しているのか、と不思議です。
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事務所のタイタンには光代社長のゲテモノ好きが災いして若手が育っていませんし、たぶんこれからの太田光はキツいのではないか、と思いますねー。はい、私は太田光が嫌いです。(了)
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