人間は誰にでもなにがしか、これだけは譲れないというものがあります。たとえば自分のアタマのよさをそのように自負している人が、はっきりと間抜けな失敗をしでかしてしまうと、途端にパニックに陥ったりします。アタマのよさは生きていくうえでの精神的な主柱みたいなものなのです。
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私などの場合、自分はもともと思っていたほど利口でもスマートでもなかったのだ、と思い出せばそれで一件落着なのでラクです。ふだんそれを忘れているところから間抜けであった、あっ、そうか、と。しかしそうではない方々もいらっしゃるわけです。
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譲れない、簡単に茶化せないそんな部分を、“虎の尾”といういいかたをすることがあります。虎の尾っぽを踏んじゃって……、というあれです。ハゲだとか低身長だとか、丸顔だとかいうコンプレックスも“虎の尾”ではありますが、こちらはコンプレックスではなく自負の問題です。
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で、また私の場合で恐縮です。私の場合はそれほどスゴい、カッコイイ、デカいというわけではないのですが、チンチンは人並みだという自負はあります。ほんとうに、これは譲れないのです。たぶんごくごくふつうの、平凡な“人並みのチンチン”であることが、私が生きていく上での精神的な主柱なのです。せめて。
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なぜチンチンが生きていく上での精神的な主柱であるとまで自覚するようになったかといいますと、ふだんはあまりシャキッとせず、内心では少々軽んじていたある男のたいそう立派なチンチンを、温泉の風呂で突然まのあたりにした経験があるからです。
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それまでチンチンの大小になどまったく関心はありませんでした。しかし、その男にはまったく似つかわしくない、ブランとふてぶてしいたたずまいが目に入った途端、私は存在を根底からゆさぶられたような衝撃を受けたのです。
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あえていえば、言葉にならない、理屈ではない、しかし有無をいわさぬ決定的な格付けを喰らった感じです。あまりシャキッとしないその男への畏怖の念がしばらく消えず困ったものです。
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なにかほかにこのような感じを受けたことはありません。チンチンこそ存在の拠り所、精神の主柱。まあ、男はDNAを継承させるために生きているとかなんとかいえばツジツマは合うのかもしれませんけれども、股間に原始の暗黒を抱えているようで不気味です。しかし案外、私のような男は多いのではないかとも思います。
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そーんな男たちがたいへん気にするのが“包茎”という問題です。なにしろ仮性包茎も含めると約7割が包茎という話もあります。それどころではなく、Schoberlein (1966) の調査では、おおよそ、通常時には割礼されていない成人の50%において包皮が亀頭を完全に覆っており、42%は包皮が部分的に覆っており、残りの8%において亀頭が完全に露出している、という話まであります(Wikipedia)。
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まったく包茎ではない!! ズル剥け!! と胸を張れるのは全体のわずか8%なわけです。さて、包茎には次の3つのタイプがあります。
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◆仮性包茎:平常時には亀頭の全部あるいは一部が包皮に覆われている状態だが、勃起時には、痛みも締めつけもなく亀頭をスムーズに完全露出させることができる。引けば剥けるタイプの包茎。五勝手屋羊かんに似ている
◆真性包茎:包皮輪が非常に狭いために、平常時も勃起時も包皮を剥くことがまったくできない。引いても剥けないタイプの包茎。中華料理やタイ料理に使われるフクロタケに似ている
◆カントン包茎:包皮輪が狭いために、亀頭を露出するとその下に締めつけがあったり、締め付けのために亀頭を全部露出できない。真性包茎の少しゆるいタイプの包茎
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で、包茎の多くは仮性包茎です。ところで、包茎、なにかおかしくないですか? 正しくは、要するに先っぽの問題なわけですから、茎ではなく、包頭あるいは包亀というべきではないのでしょうか? ちなみにモンゴルには包頭(パオトウ)という都市があります。
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で、仮性包茎の場合、実用には差し支えがありませんし、いつでも手術をすれば簡単に治せるという気持ちもあるので、かえってそのまま放置されがちだったりするわけです。実際問題としても、放置していてもなんの問題もないわけです。衛生に気をつけるのはどんなチンチンでも一緒。
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しかし、そんな包茎手術にも落とし穴があります。まずは料金です。よく2万円〜3万円程度という表記を見かけますが、これは真性包茎、カントン包茎に限った場合です。
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もっとも多い仮性包茎の手術には健康保険が適用されません。実際問題として仮性包茎の場合は放置していてもなんの問題もないのですから、あたりまえといえばあたりまえです。で、自由診療で費用は10万円〜30万円ほどになります。なぜ真性包茎でなかったのか!! という気分にもなります。ならないか。
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このほか包茎手術のさまざまなトラブルについては、ちょうど《包茎手術で100万円!「手遅れと言われ真っ白に…」 施術台の上で「追加料金」 トラブル続出の実態》という記事が配信されていました(「withnews」2016年7月18日)。復習も兼ねて以下抜粋してご紹介します。
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《包茎手術で高額な施術を強引に勧められるなどのトラブルが相次いでいる。健康保険が利かない自由診療の医療機関であることを知らずに施術を受け、費用が100万円を超えることも。術前に施術内容や費用を確認することが大切だ。(朝日新聞文化くらし報道部)》
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《関西地方の福祉関係職員の男性(40)は30代の頃、大阪市内のクリニックを訪問。医師に相談すると、「これはひどい。いますぐ手術をしないと手遅れになる」と言われた。提示された費用は100万円超。「持ち合わせがない」と言うとローン会社を紹介された。言われるままにサインし、即日手術を受けた。男性は「手遅れという言葉で頭が真っ白になった」と振り返る。
男性が施術を受けたのは、費用が全額自己負担となる自由診療のクリニックだった。男性は保険適用外のクリニックであることを知らなかった。》
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国民センターによりますと、包茎手術に関して寄せられた苦情は過去5年間(2011年度〜2015年度)で1092件にのぼっています。相談の内容は手術後の痛みや腫れを訴えるもののほか、「施術部分が裂けた」「出血が続く」「組織が壊死した」など。さらに、機能障害や排尿障害など後遺症に関する苦情もみられたそうです。で、このうちの8割以上が手術の即日契約をしています。
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《厚生労働省などによると、保険が適用される医療機関で、必要な施術だけを受ければ、1万~3万円程度の費用ですんだとみられる。ただ、仮性包茎の場合、保険が適用されない。
国民生活センターなどによると、雑誌の広告やホームページで、手術費用を5万~10万円程度とする包茎クリニックは多い。だが、実際に相談に行くと、「トッピング」と呼ばれる医学的に特に必要がない追加施術を勧められ、費用が膨らむケースもある。》
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包茎手術の「トッピング」というのは「追加施術」ですから、“リバス”と呼ばれるチンチンの増大&長茎術、ヒアルロン酸やシリコンボールの注入などのことです。欲張りますねー。このほか「オプション」としてより高級な手術糸を使うなどということもあるようです。
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《医療問題弁護団は先月26日、包茎手術に関するトラブルの無料相談を実施。53人から相談が寄せられ、費用が100万円を超えた人が15人いた。また、半数以上が即日手術をしていた。厚労省は昨年9月、美容医療について、「即日施術の必要性が医学上認められない場合には、即日施術の強要行為は厳に慎まれるべき」とする通知を出している。》
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で、結局、手術後の満足度はどうなの? というと、国民生活センターが、包茎手術を3年以内に受けたことがある18歳から39歳の150人にアンケート調査したところ、4割の人が術後に何らかの不安や不満、不具合を感じていると回答しています(「excite.ニュース」2016年6月24日配信)。
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高い費用を払って新しい悩み事、心配事を背負い込むかもしれないとなると、考えものです。仮性包茎くらいのほうがチャーミング、と考えていたほうがいいのではないでしょうか?
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考えてみればここのところ、4回か5回に1回くらいの割合で下ネタっぽい話題になっています。なんといいますか、人間のやること、どんなことでもだいたいのタカは知れているわけですけれども、その点、下ネタっぽい世界にはまだ未踏の地が残されているような気がするのです。
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だいたいですよ、チンチンにシリコンボールだのヒアルロン酸だのを注入するって、そういうことと女性の快感とはあまり関係がないといわれているのにもかかわらず、なにを子どもっぽい夢を見ているのでしょうか、です。ま、そういう強烈なカスタムが入ったチンチンを1度見てみたいような気もしますけれども。
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ま、いってみれば下ネタの周辺は、不合理、不条理がまかり通る秘境、穴場なわけです。でも考えてみれば、下ネタというのは、不思議と小さな子どもたちも喜びますよねえ。(了)
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マジで売れていません!! 右のカラム分もよろしく!! お腹すいたー
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