「お笑い」は笑えなければダメ、だと私は思う。“興味深い”とか、わけのわからない“感動”なども範疇の「面白い」で語られるようでは「お笑い」ではない。「お笑い」は笑えるか笑えないか、あるいは笑わせられるか笑わせられないか、がすべてである。そしてその道のプロがお笑い芸人である。シビアなのである。
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テレビで見るかぎり、「お笑い」というジャンルは、いまやほとんど絶滅寸前である。唯一『笑点』が健闘しているように見える。見えるけれどもレギュラーに林家三平(45)を招き入れた時点で「お笑い」度数は一気に下がった。ガッカリである。『さんまのお笑い向上委員会』は楽屋ネタ、内輪ネタばかりで、いっこうに向上する気配がない。明石家さんま接待番組である。
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林家三平には「お笑い」の凄みがないのである。落語家としてヌルすぎる。嫁ネタならフジモン(45)でも宮迫博之(46)でもできるのである。とはいえ三平、いまさら他のことはできないから落語にしがみついている。ああ、もうはっきりいってしまえば、落語界に海老名家は無用である。というか落語界のお荷物である。林家正蔵の名跡をいったいどうしてくれるんだよう!!
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テレビで「お笑い」というジャンルをここまで弱体化させたのは「バラエティ」というやつだ。なんでもありの世界だけれども、ただひとつ芸の厳しさというものだけが欠けている。
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出川哲朗のリアクション芸(52)は撮られ方を熟知したカメラ芸であって「お笑い」の芸ではない。そんなようなわけなので、笑わせられなくなったお笑い芸人はなんとか笑わせられるように努力、研鑽する、のではなくて、安易に脇に流れる。
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脇に流れるというのは、たとえば企画ものである。「〜ドッキリ」とか「〜クイズ」とか「〜体験」とか。しかしそれは別にお笑い芸人でなくてもできる仕事なのである。菊地亜美(25)でも鈴木奈々(27)でも立派にこなしている。
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そういうことを考えると、ここ数年、ビートたけしなどが落語に注目しているのにも合点がいく。純粋というかある種ストイックに「お笑い」に向かっていくのが落語だからである(海老名家は除く)。
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そこまで考えたのかどうかはわからないけれども、だから月亭方正(48)が落語に舵を切ったのは正解だと思うのである。あのヘタレが、と松本人志(52)も心中穏やかではないはずである。
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そういえばナインティナインの岡村隆史(45)が、『解決! ナイナイアンサー』(「日本テレビ」2016年5月31日放送)で、今後の自身の展望について「ずっとテレビに出ていたいと思っている」と語っていた。情けない。
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でもって、「テレビに出たいと思ってこの世界に入ってきて、ネタとかあんまりやってないから、漫才師というわけでもないし」、「舞台にそんな出てきたわけでもないから、帰るところもないし」なのである。岡村隆史、もともと「お笑い」の人間ではなく、バラエティ班なのである。
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それにしても「ずっとテレビに出ていたいと思っている」といってしまっては目的と方法が逆さまではないか。「テレビに出る」というのは人を楽しませるための手段のひとつであって、それ自体が目的にはならないはずである。それが展望とまでいうなら、まるで素人である。
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あの、砂浜の海岸を、やたら前垂れの長いフンドシ一丁で全力疾走し、爽やかな笑いを巻き起こした岡村隆史はいったいどこへいったのであろう? 作家の考えたこととはいえ、あのときの隆史には、笑わせることへの迷いなどなかったのである。有無をいわさず笑わせるチカラがあったのである。献身があったのである。股のあいだから後ろに引きずった前垂れの端には火が燃え盛っていたのである。
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うむ。体が動かなくなってしまったのだから、それはもう詮無きことなのかもしれない。おお、もはやそれは「無問題」ではなく「大問題」である。去年の『27時間テレビ2015』(フジテレビ)での長時間にわたるノンストップダンスは、正直、目を覆いたくもなったのである。
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では岡村隆史はいま現在、どのようにして「ずっとテレビに出て」いようとしているのであろう? そこで性格の悪い私は、『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』での数々の暴言、珍言のたぐいを思い出してしまうのである。
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そう、たいへん申しわけないが、いわゆる炎上商法である。かつてはナインティナインとしての看板番組だった『めちゃ×2イケてるッ!』が打ち切りの瀬戸際に立たされて久しいいま、生真面目な岡村隆史がなにも手を打ってこなかった、と考えるほうが不自然だと思うのである。えっ? 「カガリP」が移動になる? それではほんとうに今度こそ危ないではないか。
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岡村隆史の最近の暴言は、たとえば長友佑都(29)と平愛梨(31)の交際についてである。「俺ね、上手いこといかへんと思うねん」と冒頭にひとこと。そしてその理由は平にあるとし、極端な潔癖ぶりや強すぎる家族愛をあげつらっていたのである。(「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」2016年6月9日放送)
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婚活に失敗し続けている岡村隆史であるから、「お前にいわれたくねーよ」の典型である。というか、そんな岡村隆史ではなくても、実際に幸せな結婚生活を送っている方でも、こんな発言はしていけないのである。隆史ご本人もそれに気付いていないはずはないのである。でも口に出してしまうのである。
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おっと、隆史は「(頭が)パッカーンってなった」(by Wikipedia)ので2010年には約5ヵ月間の長期休養をしているのである。しかし本人の言葉を信用すれば、現在服用しているのは「薄毛の薬だけです!!」(by本人)らしい。あと漢方薬を毎日3種類飲んでいるという話もある。
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かつては久米宏にクレームを付けたこともあった。
「前から久米宏さんが来はったんですよ。俺はおはようございますっていって、頭を下げたんです。ところがですよ、久米さんはそのまま素通りしたんです」、「芸能界に22年いて、まだこんなことあんのかって。悲しくなった」、「こんなことってある? 芸能界っておかしい。もう芸能界を他人に勧められない」(「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」2013年5月10日放送)。
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まあ、ことほどさように別に喋らなくてもいい、喋らさないほうがいいことをわざわざ電波を使って吹聴することを、岡村隆史のご意見番化=和田アキ子(66)化というらしいのである。
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これには岡村隆史のマジメな性格が影響しているのだという説がある。題して岡村隆史の義務感説である。ここのところを、『デイリーニュースオンライン』(2015年12月3日配信)は、「ラジオ番組関係者」の話として次のように解説している。
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《以前の『ナインティナインのオールナイトニッポン』では、笑えるネタをメインに扱っていましたが、今は芸能ニュースや時事問題に意見することをメインにしています。これは恒例化していますが、そもそも誰かから頼まれたものでもありません。自分で勝手に話し出して、それがネットで話題になったため、『俺が喋らなアカン』と勝手に義務感を背負いだしたのです。本人の中では“世間が俺の意見を求めている”と思っているようです》
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そうか? 「俺が喋らなアカン」のならその評価、反響についてもチェックしているはずである。自分はご意見番としてダメだ、ということは先刻ご承知のはずである。それでも喋ってしまうのである。
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『デイリーニュースオンライン』で「テレビ番組関係者」はこうも語っている。
《「退院後は攻撃的な性格になったといわれています。岡村さんは基本的には礼儀正しい人なんですが、退院後は正義感が強くなったのか、少しでも敬語の使い方が間違っていたり、モノの渡し方が悪いと怒るようになりました。
無論、それ自体は社会人教育として考えれば悪くないことですが、言い方がひどいんです。一言だけ『ダメだよ』と注意すれば済むようなことでも延々と相手を責め続けるんです。相手が泣くまで続けることもあるので、さすがに否定的な見方も多いですね」》
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しつこいオヤジは嫌われるのである。身長体重に関わらず。で、さらに「テレビ番組関係者」はこう続けているのである。
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《「今の岡村さんと話をするときにはスタッフは相当気を使っています。そのため、必要な会話以外は避ける関係者も多いですよ。病気だからそうなったのか、病気が治ったからそうなったのかはわかりませんが、とにかく以前の岡村さんのほうが付き合いやすかったですね」》
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私としては、岡村隆史のおしゃべり病は、「(頭が)パッカーンってなった」影響が先にあり、炎上商法としての目論見がそれを正当化して成り立っているのだと思うのである。かつてなにかにつけ「喋れない」と批判されていたことへの反発もあるのかもしれない。
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だがしかーし、実はそんなことはすべてまとめてどーでもいいのである。岡村隆史がお笑いではなくてバラエティ班だったにしても、視聴者をもっと笑わせればすむことなのである。ここらで少しアタマを冷やして考え直してみたほうがいい、と思うのである。それでいいアイデアが浮かばなければ、もうテレビには出ないほうがいい。なにしろイタい。(了)
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