SMAPが解散して5日目である。まだ落ち着かない。SMAP解散という事実をどう捉えたらいいのか、誰もが戸惑っているように見える。ジャニーズ事務所ですらどう扱うべきなのか手をこまぬいてしまっている感じだ。そこで生まれながらの大ウソつきである私が身のほど知らずにもちょっかいを出してみようと思ったわけである。
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最初に現状を「SMAP」という家とそこの住人の物語として整理しよう。
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「SMAP」には最初6人の兄弟が住んでいた。男ばっかり6人。性格はもちろんそれぞれバラバラで、頑張り屋もいれば浮世離れして少し乙女っぽいところのある子もいる。
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男ばっかり6人のむさ苦しさ窮屈さに嫌気がさしたのか、下から2番目の子は20歳を少し過ぎたころに家を飛び出していった。その後5人はなんとか力を合わせて暮らしていたけれども、それぞれがオトナとして十分な、壮年といわれる年齢に達してくると、いろいろな問題も起きてくる。
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5人全員が結婚して一緒に住むには、「SMAP」は狭すぎるのである。そのため近所に住んでいる兄弟の祖父母は兄弟をできるだけ結婚しないように仕向けていた。けれども次男だけはどこからか押しかけてきた女と早くに結婚し、別に家庭を持っていたのである。
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次男の結婚は兄弟の関係に暗い影を落とすこともあった。というか、兄弟のあいだの問題は、いつも遡ればそのあたりの祖父母からの待遇の違いに端を発していたのである。しかも次男の妻は親のいない兄弟が幼い頃からとてもよく面倒を見てもらい慕ってもいた「オバサン」とたいへん仲が悪かったのである。
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もともと兄弟の祖母とも折り合いが悪かった「オバサン」は、祖母とその娘、つまり兄弟からしてみれば叔母さん、そして次男の妻の合計女3人から苛められてある日突然、姿を消してしまう。いつもどこか冷たい祖父母よりも一生懸命に育ててくれた「オバサン」を慕っていた兄弟5人はパニック状態になった。
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困ってしまった兄弟5人は「オバサン」を捜しにいこうと相談をしていたけれども、いざ旅立ちの直前というときになって、次男が妻に反対されて「SMAP」の家に残ることになる。親戚や近所の人たちには“誰かが残ってこのSMAPという家を守らないといけないし、ジイちゃんバアちゃんの面倒見もある”ということにしておいた。
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さて、「SMAP」にはポツンとひとり次男だけが残った。次男の妻と子どもは祖父母のところで暮らしている。これまで兄弟5人で力を合わせて仕事をしていたのに自分以外の全員がいなくなってしまったのだから、次男は正直なところどうしていいのか途方に暮れてしまった。金持ちの祖父母の援助で当面の生活に困ることはないけれども、仕事ができないのは辛いしやはり不安だ。
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ここまでが現状の整理である。さて次の問題は、次男とほかの兄弟たち4人はこれからどうして生きていけばいいのであろう? ということである。
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次男と袂を分かって「オバサン」を捜しにいった4人の兄弟たちの未来は明るいように見える。とりあえずはたいへんだけれどもワクワクするような冒険の物語が待っている。ある日突然姿を消してしまった、面倒見のよい「オバサン」との再会のときも少しづつ近づいているようだ。
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しかし問題は次男である。仕事がうまくできないし寂しいからといって、いまさらほかの4人の兄弟たちを追いかけて合流するわけにもいかない。ああ、どうすればいいのであろう? お先真っ暗な感じである。で、そんなとき次男の夢のなかにフェアリーが現れ、3つの道を指し示すわけである。それらの道をうまく歩めば、次男にも明るい未来が待っている。フェアリーとは不肖アタシである。
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【Aの道】「SMAP」を捨てる
「SMAP」の家を出て祖父母の家で暮らすのである。ほかの兄弟4人は「オバサン」を捜しに家を出ていったきりだし、出ていったときに祖父母から厳しく勘当をいい渡されているから、これでこの世の中に「SMAP」を名乗る者はいなくなる。
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逆に次男が「SMAP」の家にいて「SMAP」を名乗り続ければ、その名門ブランドの威光を借りることができる大きなメリットがある。ただでさえ仕事が上手くいっていないいま、それを手放すのはたいへん損なような気もする。しかしながら「SMAP」の家にいるかぎり兄弟を裏切った男という悪いイメージから逃れることはできないのである。
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“誰かが残ってこのSMAPという家を守らないといけないし、ジイちゃんバアちゃんの面倒見もある”と、ひとり「SMAP」に残った理由を、親戚や近所の人たちにはオモテ向き説明したけれども、ほとんどの人はそれを真に受けてはいない。ほんとうは妻に反対されたからほかの兄弟と一緒にいかなかったのだ、と見透かされている。
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つまり「SMAP」の家に居続けることはそのブランドの価値をひとりで引き継ぐことであるけれども、同時に“裏切り者”の看板を掲げているようなものなのである。次男に有無をいわせぬ仕事の腕があればどちらに転んでもチカラづくで納得させられるであろうけれども現状は厳しい。「SMAP」を捨てるというのはなかなか難しい判断である。
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【Bの道】「SMAP」に残り同居人を増やす
「SMAP」のブランド価値は捨てられない。しかし「SMAP」にひとり住み続けていても次男だけではどうにもならない。そこで後輩を「SMAP」に同居させる。つまり次男がプロデューサーになって、新SMAP派と呼ばれるたぐいの集団を形成するのである。
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とはいえ次男には人望がない。したがっていますぐ十分な戦力を揃えるわけにはいかない。けれども、これからコツコツと面倒を見て腕のある若手が育ってくれれば「SMAP」の経営は安定するし、裏切り者のイメージも薄れていく。
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そうすると結局、次男は仕事人としては裏方に回ることが多くなり、いったんその存在は目立たなくなる。ここで自分を抑えて“後輩ファースト(by小池百合子)”の姿勢を貫けるかどうかが非情に重要なポイントである。次男にそれができるのであろうか。
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【Cの道】祖母を説得する
「SMAP」で暮らしていたころ、兄弟5人と祖父母の仲はあまりよくなかったのである。であるから次男が「SMAP」に残る理由として突然「ジイちゃんバアちゃんの面倒見」があるといい出したのには違和感があった。また、自分ひとりが仲間から離脱して分裂のきっかけをつくってしまったのに「『SMAP』を守る」ためだというのにも不自然さがあった。それでそんないいわけはウソだろうという評判になってしまったのである。
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あまり仲のよくなかった「ジイちゃんバアちゃんの面倒見」と「『SMAP』を守る」を統合するストーリーをうまくつくりだせれば、次男は一貫して祖父母と「SMAP」のために行動していたのだ、兄弟とは別れることになっても信念を貫いたのだ、といい張ることはできる。妻の存在はできるだけ目立たないように隠して。
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うむ。たぶん鍵は祖父にある。祖母は「SMAP」の家、そして面倒を見てくれていた「オバサン」をはっきりと嫌っていたけれども、祖父はそうでもなかった。つまり祖父母は一枚岩ではない。ここに付け入るスキがありそうな気がする。具体的に考えてみる。
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「オバサン」が「SMAP」から姿を消す直前、祖母は祖父つまり自分の夫とオバサンとの不倫まで疑って「オバサン」にさんざん意地悪をするようになったのである。実際にそんなことはもちろんまったくなくて事実無根だったのだけれども、これをあったことにしてしまうというのはどうであろう?
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祖父とオバサンは結託してうるさい祖母を追い出し、「SMAP」の家を2人で盛り立てる計画を立てていたのである。頑固でワガママな祖母さえいなければ親戚や近所の人たちとも仲よくでき、「SMAP」の家の5人兄弟たちだけでなく、続く後輩やその他の仕事仲間とも上手くやれるはずなのである。もう祖母にはみんな愛想が尽きているのである。土地財産の名義はほとんどが祖父であったから、決意さえしてしまえばそれはそんなに難しくないはずだったのである。
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しかし、だがしかーし。祖父と「オバサン」が計画を実行に移そうとしたその直前!! 祖母の娘(「SMAP」の家の兄弟の叔母)に勘づかれてしまうのである。叔母にしてみれば自分も行き場所を失うかもしれない、そう考えて母親(「SMAP」の家の兄弟の祖母)に密告したのである。
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で、祖父は祖母からフルボッコにされ、土地財産の権利まで奪われてしまう。「オバサン」も姿をくらまさずにはいられない状況に追い込まれてしまった。
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この事の次第を知っていたのは5人兄弟のうちの次男だけだった。次男にしてみればみんなが仲よく暮らせるのがイチバンである。祖父が祖母を追い出すようなことはしてほしくなかったし、「オバサン」にも出ていってほしくはなかった。祖母にはもう少し祖父にやさしくしてもらいたかった。そしてあまりのことの重大さに、兄弟たちにもこのことはいわないほうがいいと考えたのである。
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そんなようなわけで、いつかみんなが仲よく暮らせる日を再び招き寄せるためには、いまはまず自分ひとりでも「SMAP」の家に残ることが必要だと考えた、とかなんとかのでっちあげストーリーである。
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このストーリーを成功させるには、次男が祖母を説得してまたみんなが「SMAP」の家で暮らせるようになりました、というハッピーエンドがなによりイチバンである。イチバンではあるけれどもムリ。
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次男に祖母の説得ができない場合、チャンスは祖母が祖父よりも早く死んだときにだけ残される。ひどい話だのう。生き残った祖父に、「実は……」と上記のストーリーを語ってもらうのである。ずっと祖母に首根っこを押さえられてきた祖父である。「オバサン」がいなくなったときの罪滅ぼしも込めて、やってくれる可能性はある。
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祖父の告白ですべてが元のサヤに収まるというわけにはいかないけれども、ずっと口をつぐんできた次男の裏切り者イメージは払拭される。欲をいえば【A】を起点に【B】、【C】と続けて実行できれば万全である。さて、次男にこの難しい役まわりができるであろうか? ムリだと思う。ムリだけれども次男の未来がもうすっかり暗黒に塗りつぶされてしまったわけでもないことはわかったのである。
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裏切り者のレッテルを剥がす一発逆転のチャンスはまだある。本人次第だけれども。あ、くれぐれも妻には絶対に口出しをさせないように。そうか、やっぱりそれが難関か。アタシもそう思う。(了)
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