2016年7月29日金曜日

工事中タレント、KABA.ちゃんがいまひとつブレイクしない理由



「KABA.ちゃん」。芸名KABA.ちゃん(47)。本名の椛島永次(かばしま えいじ)からきているのだろうが、たいへん思い切った、というか振り切れた名前である。誰に頼まれたというわけでもないのに、「よし、私は明日から“KABA.ちゃん”で売っていく!!
」と踏ん切りをつけるのには、きっと、なみなみならぬ気の荒さというか、鉄火場気質(かたぎ)みたいなものが要る。



この、ひとむかし前の漁場だとか土木工事の現場だとか炭坑だとかで働く女をイメージさせる一種の猛々しさ、というか獰猛さがときどき顔を出してしまうのが、KABA.ちゃんがいつまでもいまいちひと皮むけ切れない原因である。ひと皮むけ切れない。KABA.ちゃんには微妙な表現である。うむ。



たとえばいつだったか『ダウンタウンDX』(読売テレビ)で、隣席のアイドル女子を、不意に体に触ったとかで激しく怒鳴りつけたことがあったのである。その場は麒麟の川島(明、37)でないほう(田村裕、36)の機転(好みのタイプだと聞いていての逆襲)でなんとかおさまったのだが、KABA.ちゃんの突然の一瞬の激高ぶりには思わず目をみはらせるものがあった。



KABA.ちゃんは、「なにいってんだ! この野郎!!」とか「オモテに出ろ!!」とか「やってやろうじゃねえか!」という啖呵がいちばん似合うオカマなのである。で、染みついている荒くれた空気はすぐ場末感につながっていき、暗さ、影も感じさせるのである。KABA.ちゃん、キャラ設定としてはいじられキャラなのにこれほど怖くては、売れないのもあたりまえなのである。売れようと思ったら性格を変えないかぎりムリ。少なくとも“鉄火場気質(かたぎ)”が“鉄火肌”くらいにならなくては。ここのところ、今日の本題に少しかかわってくる。




KABA.ちゃんといえば美容整形である。性同一性障害を抱えているので、自分の男っぽい外貌に嫌悪感があるというのは理解できる。理解はできるけれども少し斜めに見てしまうのは、それをいちいちマスコミを使ってご報告してくることだ。こちらが受け付けなければそれでいいのだけれども、なにかの拍子に目に耳に入ってくる。いまや工事中タレントである。



もしこれを、とりわけこれといった売りものがないので自分の身を切り刻んででもマスコミに乗ってやろうと考えた、というふうにだけ推察すると、これまた恐ろしいことである。しかし実際は、いわゆるふつうの審美的美容整形、性同一性障害を抱えているからこその、女性化をめざした整形、そしてビジネス整形、この3つが複雑に絡み合っての“工事中タレント”なのであろう。



では、ざっくり
KABA.ちゃんの美容整形の実績を並べてみよう。残念ながら時期ははっきりしない。

◆美容外科の医師に「平均的な男性より顔が5mm長い」といわれてアゴを5mm削る
◆同時に、金運上昇のために福耳にする。しかし左右同じ大きさにならず、左の耳たぶが右に比べて大きい
◆鼻にプロテーゼを入れる
◆ほお骨やアゴを削って女性らしい小顔に
◆二重まぶたの形成
◆眼瞼下垂の矯正手術と二重まぶたの修正
◆肌にハリを出すための金の糸の埋没手術



かかった費用は、金の糸の埋没手術を除いて総額約210万円。案外安い? そうでもないか。いちばん高額なのはアゴの5mm削り代金、約150万円だそうである。これ以降にもところどころ追加工事をしているかもしれない。



ああ、そういえばいま大阪で金の糸の埋没手術を受けた患者が、MRI(磁気共鳴映像装置)検査を受けられなくなったいってと訴訟を起こしているけれども、見解は医師や関連機関によってマチマチのようである。高須克弥院長(71)にも聞いてみなければなるまい。



で、これは美容整形ではないけれども、
KABA.ちゃんは2016年3月から5月にかけてタイで
●性別適合手術&声帯手術
を受けている。性別適合手術は陰茎を切り取り、膣と陰核をつくるのであるから大工事である。もちろんリスクもある。たいへんなことである。



性別適合手術を受けるにしろ受けないにしろ、さまざまな苦労、辛さを強いられる性同一性障害について考えていたとき、ふと、たいへん不遜で恐縮な思いつきをしてしまったのである。それは、心と体の性別が不一致なのであれば、心のほうを体に合わせてはどうなのか? ということである。いまでは脳の性分化が体とは反対の性に向かったことが性同一性障害の原因と推測されているようだから、それなら脳の外科的な手術で解決できるのではないのか? ということである。アメリカでは鬱病治療に脳に電極を差し込む時代だ。



ざっくり調べてると、以下の理由でそれは不可能だということがわかった。

●性同一性障害の当事者自身はジェンダー・アイデンティティ(自分自身が自覚・認識している性別)の変更を望まないことが多いので、治療の継続が困難

●精神医学的なアプローチでは、過去おいてジェンダー・アイデンティティの変更に成功した例がなく、そのような治療は極めて困難だと判明している

●脳を身体の性別に一致させるための脳に対する外科的アプローチは現在の医療水準では不可能である。もし可能であっても倫理的な問題が残る



そんなことは本人も望まないし、技術的にもムリだ、ということである。本人も望まないというのは、少しわが身に置き換えて考えてみればすぐにわかる。医療機関を訪れるご本人、当事者の方々はすでにさんざん自分のジェンダー・アイデンティティと体の違いに悩み、苦しんできたわけで、その結果、やはり自分は自分が思う性(ジェンダー・アイデンティティ)で生きたいと決意しているのである。それをおいそれと、そんなふうに思っている心のほうを変えよう、とはいかないのに決まっているのである。まあ、たいへん軽はずみな思いつきで失礼をしてしまったものである。深くお詫び申し上げる。



人は心に自分自身のアイデンティティ、本質を託す。そりゃそうである。ロボットとは違う。ロボットのアイデンティティは「機能」にある。たとえば100tの土砂を3分で100m運ぶためにつくられたロボットであれば、それができなくなった瞬間にアイデンティティを失う。ロボットではなくなるのである。ただのカタマリである。



KABA.ちゃんについて、「キャラ設定としてはいじられキャラなのにこれほど怖くては、売れないのもあたりまえなのである。売れようと思ったら性格を変えないかぎりムリ」と書いたのは、それがアイデンティティの変更を迫るほどの問題ではないからである。



ここのところは、よく耳にする「自分らしく生きたい」というセリフにも関連する。「自分らしく」を逃げ口上にしているとしか思えない場面にもしばしば出くわす。だからそう思ったときには、一度それが自分の本質にどれほど深く関わる問題なのかを考えたほうがいいと思う。自分を変えることを怖れていては進歩はない。はい! その通りです。ただいま通りがかりの知り合いから、いえた義理か!! というありがたーいご指摘をいただきました。はい。



人間はロボットではないのだから、男の機能がなくても、女の機能がなくても、それが入れ替わっていても人間なのである。もちろん、たとえば言葉がうまく発せられなくても、歩けなくても、目が見えていなくても人間なのである。人間の本質は「機能」ではない。そこを間違ってはいけないのである。その男、植松聖(26)の過ちはあまりにも愚かしい。
亡くなられた19人の方々のご冥福を心からお祈りする。(了)




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