きっとダラダラだらしなく生きているからだろう、なのだけれども、たぶんきっと私、ほかの方々に較べて現実感が薄いほうなのではないか、と思う。緊張する、焦る、必死になる、ということがあまりないし、なにかを期待したりすることもそうない。ウソをつくのも割と平気。なにごとも、まあだいたいそんなものだろう、と思って生きている。
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そういえば小学生時代についたあだ名は「じいさん」だった。どうしてかと聞いたら「じじくさい」という、この部分だけ切り取れば至極ごもっともなお答えだったけれども、当時の私は10歳に満たず腰を曲げて小学校に通っていたわけでも、いつもズルズル茶を啜っていたわけでもない。むしろまあまあ恵まれた都会のお坊ちゃんだったはずだ。
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あまり現実に興味はなく、空想、夢想、妄想はよくした。だから放課後はどんなことをして過ごしていたのか? と聞かれれば、座っていた、と答えるのが最も的確な答えだと思う。あ、これがジジくさいか。そうかそうか。
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私は人生の一時期、確かにそういうヤツだったのだ、と思い出させてくれたニュース。↓
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◆『アトラス』2019年5月11日配信
【〈放送事故〉「ゲーム・オブ・スローンズ」、スタバ映り込みはオーパーツ!?】
《ジョージ・R・R・マーティンによるファンタジー小説『氷と炎の歌』を原作とした米国で放送されている人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』。
このドラマの中で、スターバックスのカップが映り込んでいたとアメリカのSNSで騒ぎになっている。
このドラマは、魔法やドラゴンが出てくる中世ヨーロッパをイメージしたファンタジー世界が舞台である。ところがシーズン8のエピソード4話「The Last of the Starks」の一場面に、テーブルの上にスターバックスのロゴ入りカップが置かれており、画面に映り込んでしまったのだ。
まさに「オーパーツ=場違いな物品」である。
このありえない放送事故に世界中が大騒ぎを展開している。いっそのことスターバックスがスポンサーについて、ファンタジー世界にもスタバを出店すればいいではないかという意見もあるようだ。》
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この記事、微妙に現実と虚構が逆転している。ふつう映画の中にあってはならないコーヒーカップなどが写り込んでいたとすれば、「虚構のなかに現実が入り込んでしまった」、といういいかたをするはずだ。「せっかくつくりあげた虚構の世界が台なしだ、取り返しがつかない」なんて嘆いたりして。
ところがこの記事ではタイトルから「スタバ映り込みはオーパーツ!?」とくる。
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オーパーツ/OOPARTSとは「out-of-place artifacts」の略で、たとえば太古の地層から発見された金属のボルトとか、鉄製ハンマーの化石とか、真贋のはっきりしないオカルト的な遺物だ。直訳すれば記事中にある「場違いな物品」ということになる。
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つまり、「ドラマという現実にスターバックスのカップという虚構が紛れ込んだ」という枠組みで語られているのだ。そしてまたこのニュースを読んだ私の第一印象も、「せっかくつくりあげた虚構の世界が台なしだ、取り返しがつかない」などと深刻なものではなく、あらあらこんなこともあるのねえ、といたって軽い。
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どうしてこういう事態に到ったのか。かつてのように感光フィルムで撮影しているわけじゃなし、コーヒーカップの一つくらいデジタル処理で簡単に消せると知っているからだろうか。
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もちろん確かにそれも考えた。考えたけれども考える前にそもそもこのドラマにとって大事件だとは感じていなかった。なんなんだろうなあ。
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でもって「ジジくさい」小学生だった私は、現実がリアリティを失ったからだ、という仮説を立てるわけである。現実は現実なのでリアリティを失うなどは倒錯である。しかしそこに少々異物が入っても驚かないくらいのユルさはできてきたのではないか、だからドラマのなかでそれが起こってもわりかしすんなり受け容れてしまうのではないか、と。
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写真はかつて「こういうコトやモノが現実にあった」ということを表現の担保にしていた。写真は「こういう現実があった」という事実に立脚し、それを証明する。いまでもほとんどの写真は無意識のうちにそれを訴えてくる。ポルノグラフなどはいい例だ。
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しかし、一部の写真は現実を離れて写真それ自体としての存在を主張しはじめる。で、プリント何枚中の何番という「芸術写真」が誕生する。写真をモノとして現実世界に確立しようとすればそうなる。ホントは何枚でもプリントできるのだけれども。
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そんなこんなで、ってなんの説明にもなっていないけれども、現実と虚構の相互乗り入れみたいなことが私たちの意識のなかで起こったのではないか、と思うのである。子どものころの私に見えないお友だちはいなかったけれども、いまの時代を子どもで過ごしていたら確実にいるような気がする。
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かくしてある日、大地震が発生しても、ミサイルが飛んできても、戦争が起こっても、ゴジラがギャオギャオ歩いてきても、「ほほう、そうくる」みたいに他人事で、まずは簡単に受け容れてしまうような気がする。
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そうならないようにするにはどうすれば、といえば実に簡単で身体的な苦痛が与えられればそれでいいの。苦痛、痛みこそが現実と繋がる方法なのよ。つーか、そうするとここまで述べてきたことがいかに甘ちゃんで、屁の突っ張りにもなりましぇん(by石井慧)つーことか、である。やっぱり。
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それにしてもスターバックスはうれしいだろうなあ。タダで宣伝してもらって。(了)
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