古くからの知り合いに妙に鼻が利く男がいて、そいつからの連絡が途絶えたヤツは落ち目ということになっている。世の中こういうヤツばかりだと人付き合いが簡単でいい。こちらが真面目に働いているあいだは冷やかそうがからかおうがヘラヘラ笑って擦り寄ってくる。これも信頼関係といえば信頼関係であろう。しかも強固。たいへん変態的だが。
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そんな、金の匂いに弱いヤツのお話。
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◆『アメーバニュース』2017年12月27日配信
【GACKT、実業家として初めて本名を公表 大型の新規事業の全貌も明らかに】
《 シンガーソングライターのGACKTが、仮想通貨の大型ICOプロジェクト『SPINDLE(スピンドル)』に、コアメンバーとして立ち上げ当初から本名である「大城ガクト」として参画していたことがわかった。『SPINDLE(スピンドル)』は、Bullion JapanのCEO・平井政光氏が率いる、金融に特化したコンサルティング集団Blackstar&Coが手がけている。
GACKTは26日更新のアメブロで、「すでに巷では相当噂にはなっているらしいが、WEBがアップされようやく情報が解禁となった」と新規事業について言及。「今まではどんな事業にも名前を出すことなく、この14年間ずっと影に隠れ目立たないようにやってきた」立場から一転、実名で参画した理由について「事業としてキッチリ最後まで責任を持ってやり通したいという当たり前の想いと、なによりも、世の中にジレンマをかかえる多くの人たちの背中を押せる、大きな機会になるのではないかと思ったからだ」と述べた。
GACKTは仮想通貨について、「もはや受け入れるかどうかなどと議論をしているレベルではない」「もはや止めることのできない、この世界の最大成長産業」「インターネットの出現以上の産業だ」と形容し、事業として仮想通貨に着手した理由について、「2020年以降に訪れる経済の落ち込みは多くの人が予想しているが、今の日本にはそれを跳ね返すだけの産業がもう何もない」「多くの人に仮想通貨における投資の優位性に気づいてもらうために 広告塔としてではなく一事業者として本気で関わり 伝えていく必要があると思った」と説明した。
GACKTは「仮想通貨は、今までの小難しい金融商品よりも一般の人が入りやすい」としたうえで、「仮想通貨を通して、より多くの人が投資を体験するべきだと思う。そして、リテラシーを高め、豊かなライフプランを実現させるための資産運用を実現させる糸口を見つける」と続け、「『打席に立たなければボールは打てない』観客のままでいるのか、それともチャンスだと思い打席に立ってみるかは、自分次第。自分で決めて自分で行動すればいい。誰の人生でもない。自分の人生なのだから」と締めくくった。
SPINDLEの公式サイトでは、実業家「大城ガクト」としてのプロフィールが公開されており、これまでに明かされたことのない一面も垣間見られる。》
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7年くらい前に仮想通貨の第1号、ビットコインが姿を現したとき、こりゃまたエラいことになった、と思ったのである。ビットコインはネット上で売り手・買い手の直接取引をオンタイムで実現する。実際の通貨とは異なり政府の干渉を受けない。国境を自由に越えて人や集団を結びつける。
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開発者のSatoshi Nakamotoと名乗る人物は自分の子どもに政府のいうことは信じるな、と教えていたという噂があるほどで、発想の根底にアナーキーな志向があったことはたしかであろう。ビットコイン栄えて国が滅びるということになればおもしろいなー、しかし国は放っておかないよなー、とワクワクしていたのである。
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しかしいまビットコインは投機の対象でしかない。投資ですらなく投機。なにがそうさせたかといえば、ビットコインの信用は結局ドルや円に換金できるということで担保されていたからだ。トホホ、こんなことにも気づかなかったのである。そして妙に金にばかり鼻が利く連中がこの世の中から消え去らないかぎり、ビットコインはいつまでも自律できない。ビットコインの実験は失敗に終わったのである。
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全体的に見れば働くよりも資産を運用するほうが儲かるという図式があり、それは正しいのでみな資産を運用するほうに回りたがる。しかしほとんどの人間は鳥にも宇宙衛星にもなれない。ビョンピョンと地面の上で首を伸ばして空を眺め飛び跳ねるのが関の山。ごくごく一部の鳥人間が地上にいる誰かの労働から掠め取ってくる投資に回す金、投資で得る金にも限界がある。
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GACKT(44)が「もはや止めることのできない、この世界の最大成長産業」「インターネットの出現以上の産業だ」と形容するのは勝手であるけれども、その影で開発途上国にしわ寄せがいき、新たな奴隷労働が生まれ、社会や世界全体がさらに不安定な状況に陥るということを忘れてもらっては困る。
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GACKTも空に飛び立ちたいのであろう。そしてそのために金を賭ける側から胴元に回りたい、と願ったのであろう。ご本人はSPINDLE(スピンドル)への参画を単なる広告塔としてではない、とおっしゃっているらしいけれども、後半のこのコメントはもはや手慣れたセールストークである。
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「仮想通貨を通して、より多くの人が投資を体験するべきだと思う。そして、リテラシーを高め、豊かなライフプランを実現させるための資産運用を実現させる糸口を見つける」
「『打席に立たなければボールは打てない』観客のままでいるのか、それともチャンスだと思い打席に立ってみるかは、自分次第。自分で決めて自分で行動すればいい。誰の人生でもない。自分の人生なのだから」
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たいへん申しわけないいい方になる。SPINDLEとしてもGACKTに広告塔以上の働きを期待しているわけではなかろう。いまBullion Japanの主要業務である金取引をやっている主な層は40〜50代のジジババである。うむ。同じ沖縄県出身の誠意大将軍・羽賀研二(56)の香りが微かに漂ってくる。
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SPINDLEの母体となるBullion Japan(ブリオンジャパン)のホームページにはこう記載がある。
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「2015年5月から世界最大の金地金現物の為のオンライン小口取引プラットフォームである英国 ブリオン ボールト サービスの日本における正規独占媒介代理店として、日本のお客様に金地金取引市場において個人で簡単・迅速、そして低い手数料で金現物を購入できるサービスを開始しました。」
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要するにBullion Japanは日本における取り扱い窓口である。若干33歳だかのCEO・平井政光は法政大学卒業後、船井総合研究所 → マレーシア資本の資産運用会社 → ブリオンジャパンマーケティング担当副社長、そして2016年からBullion JapanのCEOという経歴だ。
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GACKTと平井政光との接点はGACKTが自宅をもつというマレーシアにあったのかもしれない。うーんと、ここにもう1人マレーシアに深い関わりのある日本人でGACKTのスポンサーらしき人物も登場するのであるけれども、情報が確認できない。SPINDLEの公式サイトには大城ガクトのプロフィールとしてこうある。
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「2012年にマレーシア・フィリピン・香港に移住し、事業投資を中心に多くのアジア諸国のビジネスシーンで活躍。現在は諸外国との政府・王族との親密な関係を築き、アジア諸国のブリッジストラテジスト・ビジネスインフルエンサーとして国内・海外の企業マーケティングを牽引している」
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素敵である。なにひとつ具体的に把握できるものがない。
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さて、いま世界中で仮想通貨の胴元になろうと企んでいる企業やICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング/新規仮想通貨公開)プロジェクトが山のようにある。有象無象がひしめいている、といってもいい。あ、ICO とは、もっとわかりやすくいうと資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが独自の仮想通貨を発行/販売して資金を調達することである。
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SPINDLEは仮想通過に金取引サービスを絡ませて独自色を出そうとしているけれども、その実際がどういうものになるのかはまだわからない。身上書みたいなものであるホワイトペーパーもまだ公開されていない。結局のところ実質的には「金地金現物の為のオンライン小口取引プラットフォームである英国 ブリオン ボールト サービス」のシステムに乗っかるだけという気もする。
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「平井政光氏が率いる、金融に特化したコンサルティング集団Blackstar&Co」と聞くと、デビッド・ボウイの最後のスタジオアルバム「Blackstar」(2016)や、イギリス製のギターアンプ「BLACKSTAR」を思い起こすのでなんとなくロックっぽい印象を受ける。しかしこれはロックでもなんでもない。ましてやアナーキーな企みとはほど遠い。
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ここにあるのはただただ流行りの尻尾にしがみつこうとするあからさまな金への欲望だけ。竜頭蛇尾!! ついでに鶏口牛後の牛のケツ!!(了)
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