なんとなくそう思い込んでしまっていることとか、明らかにだまされていることとか、情報のかたよりみたいなことを考えていたら、子どものころからAVを観て育ったらどうなるのだろう? という疑問に行き着きました。
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なんとなくそう思っている、というのはたとえば黒人はみなリズム感がいい、とかイタリア人は他の人が話すのを聞くのが嫌いなのでみんな一斉に喋りだす、とか日本人は礼儀正しい、とか、そんなようなことです。
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最近の若い連中は初体験で顔射をキメたがる、というロクでもない話を聞いたのは、たぶん十数年前、21世紀に入ったか入らないかのころです。世の中、世紀末とか2000年問題とかザワついていたときです。時代は一筋縄ではいかないものですねー。いまなら潮を吹かせるとかですか。
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調べてみると「顔射」(顔面に射精する)がAVに定着したのはどうも1980年代後期のようですから、十数年のタイムラグを置いて、「顔射」は現実世界でのセックスのオプションとして根付いたわけです。同時にこのお話は、セックスの情報がいかにかたよっていたかということを示しています。顔射がカッコいいらしいぜー。
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いつのまにか摺り込まれた情報が先入観になってなんとなくそう思い込んでしまったり、だまされたりします。ですから間違った思い込みや行動への誘導というのは、まずそれに関する情報が遮断されているか極端に不足している状況があって、そこに限られた一定の内容の情報だけが繰り返し与え続けられることで生まれるわけです。
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先ほどの初体験で「顔射」をキメたがる若者は、顔射が出てくるAVばかり観ていたのかもしれません。たしか当時「顔射」にはメインにフィーチャーされるほどの位(くらい)があったのです。つまり選んで観るものでした。なにをいっているのだか。
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で、セックスの世界、……このいい方、なにかしっくりこないですね。“性の世界”というべきでしょうか。なんとなくそう思った方は、たぶんそうとうなおトシ、ほぼオヤジ、オババでしょう。こんなふうに人は情報、言葉に影響されていきます。
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そのセックスの世界の情報は、いまやもう洪水のように氾濫しています。しかし、実は受け身でいるかぎり、私たちのまわりのセックスの情報というのは、AVだのコミックスだのアニメだの、商品としての情報、あるいはその商品に関する情報ばかりです。セックスそのものに関する情報の少なさとかたよりは1980年代とそう変わらないと思います。
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子どものころからAVを観て育ったらどうなるのだろう? という疑問は、ですからAVの、いわば見世物としてのセックスばかり観て育ってしまったらどうなるのか? ということです。いまならたぶん小学生も高学年になれば、ネットなどでそういうものに触れる機会は十分にあります。
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それでまあ、駅弁だの背面騎上位だのの変わった体位だとか、複数プレイだのSMだののいささかアブノーマルなスタイルに、観るだけでも慣れ親しんだ結果、どうなるか、ですよ。
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これについては、たいへん申しわけありません。まだ、子どものころからAVを観ていました、という若い人の具体的な話は聞けていません。しかし、むかし、成人映画を上映している映画館にアシスタントの若い女を送り込み、その感想を聞くというラジオ番組の企画があったのは覚えています。
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映画館から出てきたアシスタントの彼女、開口一番「こまでやらないとダメなのか、と思いました」と語っていました。なにも自分の身に置き換えて答えなくても、です。それでも、これが実際のところのおおかたの反応ではないかと思います。
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先ほどの初体験で「顔射」のように「よおーし、オレもいつかやってやるぞ!!」ではなくて「こまでやらないとダメなのかー」。でもって、子ども同士のコミュニケーションが薄くなっていることもあり、それを客観視、相対化できないまま、性の現実行動に腰が退けていくのではないか、と思うわけです。
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そうです。私は子ども時代からのAV視聴が、草食男子、絶食男子が増えている、大きな原因のひとつだと考えているのです。なにしろ20代の未婚男性の53.3%、30代未婚男性の38.0%が交際経験なし、なのです(明治安田生活福祉研究所、2016年調査)。交際経験なしということはドーテーです。
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女性の場合は20代未婚の34.0%、30代未婚の25.7%が交際経験なし、です。そう。20代で19.3ポイント、30代で12.3ポイント、処女率が童貞率を下回っています。そういうことは同年代同士でするものだと決めつければ、20代の場合は、男女同数として、計算上、やる気のある男が平均1.4人の処女とセックスをしました、ということになります。
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私はこういう性行動の活発な男のことを肉食トドちんこと呼んでいます。トドはハーレムを形成するので。そしてたいへん申しわけありませんけれどもトドちんこには人格を認めておりません。ちんこです。
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ともあれ肉食系男子とは、子ども時代にAVを観なかったか、あるいは観ても圧倒されなかったヤツだと私は思います。で、草食系男子、絶食系男子があまりにも多いので、これ以上増やさない方策を考えなければなりません。
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子どもにはAVを観せない、ということができればいいのですけれども、自分の子どものころを振り返ってもそれはムリというものです。必ず大人の目を盗んで観ます。ですから、ふつうのセックス、傍から見ているぶんには面白くもなんともないセックスを描写したAVがスタンダードになれば、とも思いますけれども、面白くもなんともないAVなどつくられるはずがありません。
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現状の若い成人男子への風向きは、単純にいうと、どうしたんだよ、もっと頑張って彼女つくれよ、です。要するに、いつまでもドーテーでいるなよ、です。セックスが奨励されています。これではセックスは流行りません。流行りすたりでするものでもありませんけれど。
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ですから、セックスはあまり簡単にしちゃいけない、重大なことなのだ、という風潮をまずはつくることでしょう。できれば40歳以下の男子はセックス禁止。ナイスです。これにはとうぜん女子の協力も必要で、婚約者および夫婦以外はセックス禁止。そうすると必ずその禁を破りたくなるものなのですよ。人間は。
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あー、くだらないくだらない。くだらなくてすみません。なぜこんなくだらないことを書いたのかといえば、若者よ投票に行こう、などという呼びかけがあまりにもうるさいからです。これ以上、呼びかければ呼びかけるほど行かなくなるのは目に見えているのに。投票行動に対する一種のネガティブキャンペーンかとさえ疑います。
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18歳以上に選挙権が与えられたこと自体、人畜無害のお墨付きを与えられたようなもの、という感覚が若い人にはあります。また、投票することはすなわち、そういうガチガチに固まってしまっている体制のやり方に呑み込まれることだ、という一種の敗北感もあります。体制はガッチガチに強固でしかも分厚く重いというのが、若者の感覚です。そして群としてのオトナをまったく信用していません。
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もしかすると自分たちが議席を失うことになるかもしれないリスクを冒してまで、オトナがわれわれに選挙権を与えるはずがないではないか、われわれに選挙権を与えるということは、すなわちわれわれが投票してもなにも変わらない、といっているのと同じだ、だいたいわれわれの世代の誰が選挙権がほしいといった? われわれに選挙権が与えられたのは、すなわち少年法の年齢規定の見直しとの整合をはかるという理由だけじゃね? というくらいは、若者は見抜いています。
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もし本気で18歳、19歳に投票してもらいたいと考えるのであれば、ひとつのモデルとしてでも実際の18歳、19歳を政策立案に具体的に絡ませるくらいのことをしないとダメでしょう。
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18歳、19歳は、いま全国に約240万人です。対して団塊の世代は現在67歳〜69歳のコアな3年分だけで約800万人もいます。18歳、19歳は、数の上でも太刀打ちできません。わざわざ負け戦をしにいくヤツはいません。それでも今回の参議院選挙では18歳の51.2%が投票したというのですから立派なものです。19歳は39.7%。
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団塊の世代のみなさん、若いヤツらは選挙にも行かないで、などと顔をしかめる前に、ひとつ18歳、19歳に助太刀してやろうというお気持ちはないのでしょうか? 18歳、19歳の身になって考えてみてください。(了)
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